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投稿日:2026年10月25日

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相続人が複数いる場合の遺品整理|トラブルを防ぐために士業が確認したいポイント

ご家族が亡くなられたあと、避けて通れないのが遺品整理です。相続人がお一人だけなら、ご自身の判断で進められることが多いでしょう。しかし、相続人が兄弟姉妹など複数いる場合は、状況が大きく変わります。

「実家の片付けを先に進めたら、他のきょうだいから『勝手に捨てた』と責められた」 「形見のつもりで持ち帰った品物が、実は高価なものだった」 こうした相続トラブルは、遺品整理をきっかけに起こることが少なくありません。

この記事では、相続人が複数いる場合に、遺品整理を始める前に確認しておきたいポイントを、弁護士・司法書士・行政書士・税理士といった専門家(士業)が見る視点も交えながら、できるだけ分かりやすく解説します。

1. なぜ相続人が複数いると遺品整理でもめやすいのか

まず押さえておきたいのは、亡くなった方の財産は、相続が始まった時点で相続人全員の共有になるという点です。遺産分割の話し合い(遺産分割協議)がまとまるまでは、家の中の家具や家電、衣類、本や骨董品、現金、通帳なども、すべて相続人全員のものという扱いになります。

つまり、実家にあるものは、たとえ自分が長年一緒に暮らしていた親のものであっても、法律上は「自分だけのもの」ではありません。ほかの相続人に断りなく処分すると、あとから「財産を勝手に処分された」「貴重品を持ち出したのではないか」と主張される可能性があります。

また、トラブルの背景には、法律の問題だけでなく感情の問題も大きく関わります。

・実家の近くに住む人と、遠方に住む人との間の温度差 ・介護や看病を担った人と、そうでない人との間の不公平感 ・「思い出の品」に対する価値観の違い

遺品整理は、こうした感情が表面化しやすい場面です。だからこそ、始める前の準備が大切になります。

2. 遺品整理を始める前に確認したい7つのポイント

① 相続人は誰かを正確に確認する

意外に見落とされがちなのが、「相続人は誰か」の確認です。

「相続人は子どもである私たち3人だけ」と思っていても、戸籍をたどると、亡くなった方に前の配偶者との間の子どもがいたり、認知した子がいたりすることがあります。また、すでに亡くなった相続人がいる場合は、その子(孫)が代わりに相続人になる「代襲相続」が発生していることもあります。

相続人が一人でも欠けた状態で話し合いや処分を進めてしまうと、その協議や手続きは無効になってしまいます。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、相続人を正確に確定させましょう。戸籍の収集は手間がかかるため、司法書士や行政書士に依頼することもできます。

② 遺言書の有無を確認する

遺品整理の途中で、遺言書が見つかることがあります。遺言書があれば、基本的にその内容が優先されるため、遺産の分け方も遺品の扱いも大きく変わります。

特に注意したいのは、自筆で書かれた遺言書(自筆証書遺言)を見つけても、勝手に開封してはいけないということです。法務局で保管されている場合を除き、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要で、封のある遺言書は検認の場で開封するのがルールです(違反すると過料の対象になることがあります)。

遺品整理の前に、次の場所を確認しておくと安心です。

・自宅の金庫、仏壇、タンス、書斎の引き出し ・銀行の貸金庫 ・公証役場(公正証書遺言の有無を照会できます) ・法務局(自筆証書遺言書保管制度の利用有無を確認できます)

③ 相続放棄や限定承認を考えている人がいないか確認する

ここは特に重要なポイントです。借金などの負債が多く、相続放棄を検討している相続人がいる場合、遺品を安易に処分したり、売却したり、高価な形見を持ち帰ったりすると、相続を承認したもの(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

相続放棄ができる期間は、原則として「自分が相続人になったこと(および熟慮期間の開始)を知った時から3か月以内」です。この期間内は、プラスの財産とマイナスの財産の全体像をつかむことを優先し、遺品の処分や持ち出しは慎重に行う必要があります。

ごく一般的な日用品の片付けや、資産価値のない思い出の品を少し受領する程度であれば、直ちに問題になるとは限りませんが、判断が難しい場面もあります。少しでも不安がある場合は、遺品整理に着手する前に弁護士や司法書士に相談しましょう。

④ 価値のあるものを事前にリストアップする

相続人同士のトラブルで特に多いのが、「あれが見当たらない」「誰かが持ち出したのでは」という疑いです。これを防ぐには、整理に着手する前に、価値がありそうな品物を全員で把握しておくことが有効です。

・現金、預金通帳、有価証券の関係書類 ・貴金属、宝石、腕時計 ・美術品、骨董品、着物、ブランド品 ・不動産の権利証(登記識別情報)、契約書類 ・車の車検証、保険証券 ・趣味のコレクション(切手、コイン、カメラなど)

価値の判断が難しいものは、遺品整理会社や買取専門の業者、専門の鑑定士に査定を依頼する方法もあります。第三者の目で評価してもらうと、「不当に安く見積もられたのでは」という疑念も出にくくなります。

⑤ 作業前に写真・動画で記録を残す

整理前の部屋の様子を、写真や動画で残しておくこともおすすめです。どの部屋に何があったか、貴重品はどこにあったかが記録されていれば、あとで「そんなものはなかった」「勝手に持ち出した」といった言い争いが起きたときの客観的な資料になります。

また、整理の過程で出てきたものを「処分するもの」「残すもの」「判断に迷うもの」に分けて記録しておくと、全員で情報を共有しやすくなります。

⑥ 相続人全員の同意を文書で残す

遺品整理を進める方針については、できる限り相続人全員の同意を得て、書面やメールなど記録に残る形にしておくのが理想です。

・いつ、誰の立ち会いで作業するのか ・何を処分し、何を残すのか ・形見分けの方法はどうするのか ・費用は誰がどう負担するのか

特に費用の負担は、もめやすい項目です。遺品整理費用は、相続財産から支払うのか、相続人で均等に分担するのか、あらかじめ決めておきましょう。立て替えた人がいる場合は、領収書を保管し、精算方法も合意しておくと安心です。

遺品整理会社に依頼する場合も、相続人の代表者が一人で契約すると、ほかの相続人から異論が出ることがあります。依頼前に、全員の同意があることを確認しておきましょう。

⑦ 賃貸物件や不動産の期限・管理も確認する

亡くなった方が賃貸住宅に住んでいた場合は、家賃が発生し続けるため、早めに契約解除と明け渡しの手続きを進める必要があります。一方で、期限を急ぐあまり、相続人間の合意がないまま片付けを進めてしまうと、トラブルの原因になります。

持ち家の場合は、遺品整理後に売却するのか、誰かが住むのか、空き家として管理するのかによって、片付けの進め方も変わります。なお、2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に名義変更(相続登記)をする必要があります。遺品整理と並行して、不動産の今後の方針も話し合っておくとよいでしょう。

3. 「形見分け」はどう進める?

遺品整理のなかでも、特に感情がからむのが形見分けです。トラブルを避けるために、次のような工夫をしてみてください。

① 一堂に会して選ぶ 可能であれば、相続人全員が集まる日を設け、順番に希望の品を選んでいく方法が公平です。遠方の方は、写真やビデオ通話を使って参加できます。

② 希望が重なったときのルールを決めておく 同じ品を複数人が希望した場合に備え、「話し合いで決める」「くじ引きにする」「順番に選ぶ」など、事前にルールを決めておくとスムーズです。

③ 価値の高いものは別扱いにする 高価な貴金属や美術品などは、形見分けではなく「遺産の一部」として扱い、遺産分割協議の中で公平に分けるのが基本です。金銭的な価値が大きいものを、感情的な流れで一人が受け取ると、後々の不公平感につながります。

④ 処分する前に声をかける 自分にとっては価値がないと思えるものでも、他の相続人にとっては大切な思い出の品かもしれません。処分の前に、写真を共有して「いりますか?」と確認するひと手間が、信頼関係を守ります。

4. 士業(専門家)に相談するタイミングと役割

相続人が複数いる場合、状況に応じて専門家の力を借りることで、トラブルの予防や早期解決につながります。それぞれの専門家の主な役割は次のとおりです。

・弁護士:相続人同士の意見が対立している場合の交渉や調停、訴訟の対応、相続放棄の相談など、紛争性のある場面で頼りになります。

・司法書士:相続登記(不動産の名義変更)や、遺産整理業務、相続放棄の書類作成などを担います。

・行政書士:戸籍の収集による相続人の調査や、遺産分割協議書の作成など、書類作成・手続き面のサポートを行います。

・税理士:相続税の申告・納税の相談先です。申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。

どの専門家に相談すればよいか迷う場合は、まず「相続全般の無料相談」を行っている窓口や、お住まいの地域の相談会を利用してみるのも一つの方法です。遺品整理会社のなかには、提携する士業を紹介できるところもあります。

5. 遺品整理会社に依頼するときの注意点

相続人が複数いる場合、遺品整理会社への依頼も、次の点に気をつけると安心です。

  1. 見積もりの内容を全員で共有する:作業範囲や費用の内訳を、相続人全員が確認できるようにしましょう。

  2. 貴重品の取り扱いを事前に確認する:現金や貴金属、重要書類が見つかった場合の対応ルールを、依頼前に決めておきます。

  3. 立ち会いの有無を決める:全員が立ち会うのが難しい場合は、代表者が立ち会い、作業中の様子を写真や報告書で共有してもらう方法もあります。

  4. 許可や資格を確認する:不用品の処分には、廃棄物処理に関する許可(一般廃棄物収集運搬業許可など)を持つ業者や提携先が必要です。無許可の業者に依頼すると、不法投棄などのトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

6. まとめ:遺品整理は「片付け」の前に「話し合い」を

相続人が複数いる場合の遺品整理で大切なのは、次の3点です。

・財産は相続人全員の共有であると理解する ・整理を始める前に、相続人・遺言書・負債の有無を確認する ・記録を残し、全員が納得できる形で進める

遺品整理は、単なる片付けではなく、亡くなった方の人生と向き合い、家族がこれからの関係を築いていくための大切な時間でもあります。焦って進めてしまうと、せっかくの思い出が、争いの記憶に変わってしまうこともあります。

「うちはきょうだい仲がいいから大丈夫」と思っていても、いざ遺品や遺産を前にすると、思わぬ意見の違いが出ることがあります。だからこそ、早い段階で話し合いの場を設け、必要に応じて専門家の力を借りながら、一歩ずつ進めていきましょう。

私たちは、相続人の皆さまのお気持ちに寄り添いながら、トラブルを未然に防ぐ遺品整理をお手伝いしています。相続人が複数いて進め方に迷われている方、ほかのご家族との調整にお悩みの方も、どうぞお気軽にご相談ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に関する法的助言ではありません。具体的なケースについては、専門家にご相談ください。

この記事の筆者

株式会社ベストサーブ

BESTSERVE Co., Ltd.

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