コラム

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投稿日:2026年2月25日

遺品整理が相続を左右する?トラブルを回避するために「片付け」ですべきこと

ご家族が亡くなった後、避けて通れないのが「遺品整理」と「相続」です。実は、この二つは切り離して考えることはできません。良かれと思って始めた片付けが、親族間の取り返しのつかないトラブルに発展したり、法的な不利益を招いたりすることがあるからです。

本記事では、遺品整理と遺産分割協議の密接な関係に焦点を当て、相続トラブルを回避するために知っておくべきポイントを、遺品整理の現場視点で詳しく解説します。


1. 「勝手に片付け」はNG!遺産分割前に注意すべきリスクとは

大切な家族が亡くなった後、空いた実家を早く整理したい、あるいは賃貸物件なので早急に明け渡さなければならないという事情があるかもしれません。しかし、「誰が、何を、いつ片付けるか」を慎重に判断しないと、大きな法的リスクを背負うことになります。

「単純承認」とみなされるリスク

相続には、すべての財産を受け継ぐ「単純承認」、プラスの財産の範囲内で負債を清算する「限定承認」、そしてすべての相続権を放棄する「相続放棄」の3種類があります。

もし故人に多額の借金があった場合、相続放棄を検討することになりますが、その前に遺品を処分したり売却したりしてしまうと、法律上「単純承認」をしたとみなされる(法定単純承認)可能性があります。一度単純承認したとみなされると、後から借金が発覚しても相続放棄ができなくなります。

他の相続人からの「横領」疑惑

たとえ良かれと思って掃除を始めたとしても、他の相続人がいない場所で勝手に物を捨てたり、持ち出したりすることは極めて危険です。「実は高価な貴金属があったのではないか」「隠し財産を持ち去ったのではないか」という疑念を一度抱かれると、その後の遺産分割協議は泥沼化します。

ポイント:

  • 形見分けや本格的な整理は、必ず相続人全員の合意を得てから行う。

  • 借金の可能性がある場合は、弁護士等の専門家に相談するまで遺品に手をつけない。


2. タンス預金や権利書…遺品整理が「財産調査」の重要なステップである理由

遺産分割協議をスムーズに進めるための大前提は、「相続財産の全容が明らかになっていること」です。銀行預金や不動産だけでなく、遺品整理の過程で初めて見つかる財産が意外と多いのです。

現場で見つかる「隠れた財産」の例

遺品整理のプロが作業を行う際、以下のようなものが「まさかこんなところから」という場所で見つかることが多々あります。

  1. タンス預金: 着物の間、封筒に入った状態、あるいは古い靴箱の中など。

  2. 証券・重要書類: ネット銀行のカード、古い株券、生命保険の証券。

  3. 不動産関連: 登記済証(権利書)や、親族も知らなかった別荘地の固定資産税通知書。

  4. デジタル遺品: スマートフォンやPCの中に保存された仮想通貨のウォレットやネット証券のID。

 

財産目録の精度を上げる

遺品整理を丁寧に行うことは、そのまま正確な「財産目録」の作成に直結します。もし整理が不十分なまま遺産分割協議書を作成し、後から多額の現金が見つかった場合、協議をやり直す必要が出てくることもあります。これは時間的にも精神的にも大きな負担です。

プロの遺品整理業者は、ただのゴミとして処分するのではなく、こうした「価値のある書類や品物」を仕分ける訓練を受けています。これが、ご自身だけで片付けるのとは決定的に違う点です。


3. 兄弟間での「形見分け」を巡る感情的な対立を防ぐコツ

相続トラブルは、決して数千万円、数億円という大金だけの問題ではありません。むしろ、「思い出の品」の奪い合いや、不公平感といった感情的な対立の方が解決が難しいケースが多いのです。

「価値の基準」が人によって違う

例えば、母親が愛用していた古い着物やアクセサリー。市場価値としてはゼロに等しくても、娘にとっては「お母さんの形見」として強い思い入れがあります。一方で、他の兄弟が「そんな古いものは捨ててしまえ」と言って勝手に処分してしまったらどうなるでしょうか。その瞬間に、修復不可能な亀裂が生じます。

感情を整理するための「時間」と「ルール」

形見分けで揉めないためには、以下のステップを推奨します。

  1. 「残すもの」「分けるもの」「処分するもの」を明確に分ける: 遺品整理の際、まずは全員で確認する時間を設けます。

  2. 形見分けのリスト化: 誰が何を引き取ったかを記録に残すことで、後からの「言った・言わない」を防ぎます。

  3. 第三者の目を入れる: 親族だけで集まるとどうしても昔の確執が再燃しがちです。業者という「他人の目」があることで、冷静に作業が進むという心理的効果があります。

 


4. 遺品整理の費用は誰が払う?相続財産から差し引けるって本当?

遺品整理をプロに依頼する際、気になるのが「その費用を誰が負担するのか」という問題です。これは遺産分割協議でもよく議論になるポイントです。

基本的には「相続人全員」または「依頼者」

法的には、遺品整理費用は相続財産そのものではなく、管理費用として扱われることが一般的です。そのため、基本的には相続人同士で話し合って分担を決めます。

相続税の控除対象になるか?

ここは非常に重要なポイントですが、「通常の遺品整理費用」は原則として相続税の債務控除(葬式費用としての控除)の対象にはなりません。 ただし、状況によっては例外が認められるケースもあります(例:孤独死等により特殊清掃が必要となり、その清掃が葬儀の一部として解釈される場合など)。

しかし、遺品整理によって「不要な不動産を売却するための準備」が整えば、将来的な管理コストや固定資産税を節約できるため、トータルで見れば相続人全員にとって利益となります。

費用負担の合意を協議書に盛り込む

後で揉めないために、「遺品整理にかかった実費を、不動産の売却代金から清算する」といった内容を遺産分割協議書に明記しておくのも一つの手です。


5. プロが教える!相続手続きを円滑にする「遺品の仕分け」術

遺品整理を単なる「片付け」で終わらせず、その後の相続手続きをスムーズにするための具体的な仕分けのコツを紹介します。

カテゴリ別の重要度

  • 【最優先:重要書類】 遺言書(公正証書遺言の控えや自筆証書の封筒)、預金通帳、年金手帳、保険証券、権利書、印鑑。これらは一箇所にまとめ、鍵のかかる場所で保管します。

  • 【優先:価値のある物】 貴金属、骨董品、ブランド品、切手コレクション、美術品。これらは売却して現金化し、相続人で分ける必要があるため、専門の鑑定士に査定を依頼します。

  • 【要確認:デジタル機器】 スマホ、PC。サブスクリプションの解約や、ネット銀行の有無を確認する必要があります。

  • 【思い出:写真・手紙】 これらは最も時間がかかります。まずは一箱にまとめ、「後でゆっくり選ぶもの」として隔離することで、作業の手を止めずに済みます。

業者に依頼するメリット

プロの遺品整理業者は、上記のような仕分けを迅速に行うだけでなく、「ご遺族が気づかなかった価値」を見つけ出すプロでもあります。自分たちだけで行うと数ヶ月かかる作業を1〜2日で終わらせることができるため、遺産分割協議の期限(相続税申告がある場合は10ヶ月以内)を意識したスピード感のある対応が可能です。


6. まとめ:心の整理と物の整理、どちらもプロに頼るのが近道

遺産分割協議は、単に「お金をどう分けるか」を話し合う場ではありません。故人が残した生きた証である「物」を整理し、納得感を持って次の世代へ引き継ぐためのプロセスです。

遺品整理を疎かにしたまま協議を進めると、後から新たな財産が見つかってトラブルになったり、物の処分を巡って兄弟仲が悪くなったりするリスクがあります。

私たちが提供する遺品整理サービスは、単なる片付けではありません。

  • 相続に必要な書類や貴重品の徹底捜索

  • 透明性の高い仕分け作業

  • 必要に応じた士業(弁護士・税理士・行政書士)のご紹介

  • 不動産売却を見据えた家財の一掃

これらを通じて、ご遺族様が安心して遺産分割協議に臨める環境を整えます。「どこから手をつければいいかわからない」「相続の話が進まなくて困っている」という方は、まずは一度ご相談ください。

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