「遺品整理」や「生前整理」という言葉をニュースや雑誌で目にする機会が、ここ数年で急激に増えました。それに伴い、遺品整理を請け負う業者も年々多くなっています。
しかし、選択肢が増える一方で、私たちのもとには切実な不安の声が届くようになりました。
「どの業者を信じればいいのかわからない」 「大切な人の思い出の品を、ただの『ゴミ』として扱われないだろうか」
私たちは日々、現場でお客様と向き合いながら、こうした不安の正体について考えてきました。今回は、実際に作業現場に入っている従業員の視点から、お客様が特に不安に感じやすいとおもわれていることについて、私たちの具体的な取り組みと共にお伝えします。
この記事を読み終える頃には、「まずは相談だけでもしてみようかな」と、少しだけ心が軽くなっていただければ幸いです。
■ 不安① 荷物の扱いが雑で、家や思い出の品が傷つきそう
「急いで運ばれて、壁にぶつけられたらどうしよう」 「家具や床に傷がついたら、賃貸物件の退去費用が怖くて……」
ご相談時に最も多く聞く不安のひとつが、この「作業の丁寧さ」についてです。 残念ながら、一部の業者の中には「効率」や「スピード」を重視するあまり、一つひとつの荷物や建物への配慮が欠けてしまっているケースも見受けられます。
しかし、遺品整理は単なる「物の運搬作業」ではありません。そこにあるのは、故人様が長年愛用されてきた品々であり、ご遺族様にとっては、触れるだけで当時の記憶が蘇る「思い出の結晶」です。

私たちのこだわり:徹底した「守る」ための技術
当社では、お客様の大切なお荷物と住まいを守るため、以下の対応を徹底しています。
「養生(ようじょう)」の徹底 搬出作業の前には、必ずエレベーター、廊下、床、玄関の柱などに保護材(養生材)を設置します。特にマンションの共有部分は、他の住人の方への配慮も欠かせません。「作業が終わった後も、変わらない状態で建物をお返しする」ことは、プロとして最低限の礼儀だと考えています。
梱包材・緩衝材の適切な使用 壊れやすい食器や工芸品はもちろん、一見「古びたもの」に見える品であっても、私たちは独断で判断しません。傷がつかないよう丁寧に包み、段ボールの底が抜けないよう確認を重ねます。
チーム連携による慎重な搬出 重い家具や大型家電を運ぶ際、無理な一人作業は行いません。声を掛け合い、曲がり角や段差ではミリ単位の注意を払います。
「急いで終わらせること」よりも、「傷一つなく、無事に運び終えること」。私たちはこの優先順位を、スタッフ間で共有しています。

■ 不安② 作業後に「大切な物」「探していた物」が見当たらない
「これだけ物が多いと、ちゃんと探してもらえるのか不安」 「後から『あれが無い』と気づいても、もう捨てられた後だったら取り返しがつかない」
こうした「紛失」や「誤廃棄」への不安も、非常に多くの方が抱えていらっしゃいます。 何十年も暮らした家の中には、ご遺族様ですら把握していない「大切な何か」が隠れていることが多々あります。

私たちのこだわり:全数確認の精神
当社では、作業を始める前に、お客様から必ず以下の2点について詳しくお伺いしています。
「明確に残しておきたい物」(権利証、通帳、貴金属など)
「ずっと探しているけれど見つからない物」(特定の手紙、写真、愛用していた印鑑など)
しかし、私たちの仕事は「言われたものだけを探す」ことではありません。作業中は、どんなに小さな封筒一つ、古本の間に挟まった紙切れ一枚も見逃さないよう、「中身を必ず確認してから仕分ける」という地道な作業を繰り返します。
あるお客様が「母が大切にしていたはずの小さなブローチが見当たらない」と仰っていました。作業中、タンスの奥に落ちていた古びたお菓子の缶を見つけ、中を確認したところ、そこには探し求めていたブローチと、当時の思い出を記したメモが入っていました。
お客様にお渡しした際、「あきらめていたのに……。また母に会えた気がします」と、涙ながらに仰っていただいたことは、今でも私たちの誇りです。
金銭的な価値以上に、「そこに込められた想い」に価値がある。 だからこそ、私たちは一つひとつの品を、お客様の代わりに手にとって確認し続けます。
■ 実はこれも多い「第3の不安」:不透明な料金設定
「作業が終わった後に、高い追加料金を請求されないか?」 「見積もりの基準がわからなくて、ぼったくられないか心配……」
実は、多くの方が口に出せないけれど、心の中で最も心配されているのが「お金」のことです。 遺品整理業界では、残念ながら「基本料金は安いけれど、後からオプション費用を上乗せする」という手法をとる業者がゼロではありません。
私たちの約束:誠実な見積もりと説明
私たちは、お客様の不安を煽るような不透明な見積もりは一切行いません。
現地調査に基づいた「確定見積もり」の提示 :原則として、当日現場で予期せぬ事態(隠れていた大量の廃棄物など)が発生しない限り、お見積もり金額以上の請求はいたしません。
内訳の完全公開 :人件費、車両費、処分費、リサイクル費用など、何にいくらかかっているのかを分かりやすくご説明します。
不要なサービスの押し売りはしません: 「これもやったほうがいいですよ」と、お客様が必要としていないオプションを勧めることはありません。
「安心」とは、納得の上に成り立つものだと考えています。

■ なぜ私たちは「相談だけでも」と繰り返すのか?
遺品整理という仕事を通して、多くの方が「極限まで追い詰められた状態」でご相談に来られることに気づきます。
身内を亡くしたばかりで、悲しみの中にいる。
賃貸の退去期限が迫り、焦っている。
親戚から「早く片付けろ」と急かされている。
どこから手をつけていいか分からず、家を見るだけで動悸がする。
このような精神状態で、冷静に業者を選んだり、作業の指示を出したりするのは、本来とても難しいことです。
だからこそ、私たちは「今すぐ依頼するかどうか決まっていない段階」で、まずはお話しいただきたいのです。
「相談」がもたらす3つのメリット
心の整理ができる: 誰かに状況を話すだけで、頭の中が整理され、優先順位が見えてきます。
費用の目安がわかり、将来の見通しが立つ :「どれくらいかかるか分からない」という漠然とした恐怖がなくなれば、落ち着いて計画が立てられます。
「味方」がいるという安心感 :私たちは単なる業者ではなく、皆さんの再出発を支えるパートナーでありたいと考えています。
「まずは話だけ聞いてみたかった」 「他社で見積もりを取ったけれど、納得できなくてセカンドオピニオンとして聞いた」
そんなきっかけで構いません。私たちは、お話しいただいた内容を無理に成約に結びつけるようなことはいたしません。

■ 私たちが目指すのは「後悔のないお別れ」のお手伝い
遺品整理は、単に「家を空っぽにする作業」ではありません。 それは、残された方々が故人様の生きた証を整理し、心の区切りをつけるための大切な行為だと考えています。
「あの時、もっと丁寧に扱ってほしかった」 「大切な写真まで捨てられてしまったかもしれない」
そんな後悔はしてほしくありません。 もし今、「こんな遺品整理はしてほしくないな……」という不安が少しでもあるのなら、その気持ちを私たちにぶつけてみてください。
お客様が安心して一歩を踏み出せるまで、私たちは丁寧にご説明し、その歩幅に合わせて寄り添います。
おわりに:ご自身のペースで大丈夫です
「まだ整理の決心がつかない」「いつ始めればいいか分からない」という方も、どうぞご安心ください。遺品整理に「正解の時期」はありません。ご自身が「やってみようかな」と思えた時が、その時です。
状況をお聞きするだけのご相談でも、喜んでお受けいたします。
「こんなこと聞いてもいいの?」という些細な質問
お見積もりだけのご依頼
心の準備を整えるためのアドバイス
どのようなことでも結構です。まずは一度、あなたの不安を私たちにお聞かせいただけませんか?
丁寧な作業と、誠実な対応に努めながら、皆様の新しい一歩をお手伝いしてまいります。
「まずは概算だけでも知りたい」「作業内容を具体的に聞きたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。
